2008年10⽉
すべては兄弟の何気ない会話から始まった。
「ここ、テナント空いているらしいよ」
兄(現・とんかつ⼈参亭の代表)のたわいもない⼀⾔に不思議と胸がざわついた。
⾃分には⽔商売の経験があり、兄は商売⼈。
話は⾃然と兄の経営で⾃分が店⻑、そしてBARを始めるという流れになっていった。
その頃、湯沢町にはいわゆる “ちゃんとしたバー” がなく
あったとしても、旅⼈や若者が気軽に⽴ち寄れる空間ではなかった。
「じゃあ、俺たちでつくろう!」
根拠なんてなかったけれど、その後の⼿応えを感じる何かがあったのを覚えている。
「ノリ」から始まった店づくり
BARを始めるなら何が必要? アイデアが⾃然とわいてくる
やっぱり、BARはウイスキーだよね。
やっぱり、BARはビリヤードだよね。
やっぱり、BARはダーツだよね。
やっぱり、BARはジャズだよね。
ノリから始まったそれは理屈じゃなく、感覚だった。
やってみたい、あったらカッコいい、お客さんが楽しんでくれたらいい、
そんな“やっぱり”を全部詰め込んで、店の構想ができあがっていった。
店名に込めた想い
店名には“必ずBARと⼊れる”と決めていた。
けれど、「BAR〇〇」では、どうにも構えすぎてしまう。
⾃分も、お客さんも、ちょっと緊張してしまいそうで、しっくりこなかった。
語呂がよく、響きがよくて、⾔いやすくて、覚えやすくて―
兄が当時好きだった映画『スウィングガールズ』の影響もあったと思う。
そして、「SWING」には“揺れる”という意味がある。
⾳楽のリズムも、感情も、⼈と⼈との距離感も。
そんな揺れるような曖昧さ、⼼地よく移ろう感覚こそ、バーにふさわしい気がした。
「SWING BAR」―
⾃らその⾔葉を⼝にした瞬間、すっと腑に落ちた。
これだ。
2008年11⽉1⽇
この⽇よりテナント⼊り、仲間たちとDIYで内装を仕上げた。
細かい設計図なんてなかったけど、⼿を動かしている時間は、妙に楽しかった。
2008年12⽉1⽇
「SWING BAR」オープン
湯沢の温泉街に「SWING BAR」が産声を上げる。
通常営業と、定期的に開催する⾳楽イベント。
音楽イベントは流行り、地元の人、旅人、リゾバの若者たちが夜な夜な集まってきた。
2013年 独⽴
2013年
兄から店舗の権利を引き継ぎ、独⽴。
⾳楽イベントは続けていたが、時代は変わり始めていた。
スノーボードやスキーで“雪⼭に籠もる”若者が減り、リゾートバイト⽂化も様変わりしてゆく。
イベントの準備や⽚づけ、精神的な疲れが重なって、次第にDJ⾳楽イベントなどの営業形態からは遠のいていった。
気がつけば、ただの“遊べるBAR”として湯沢の⽇常に溶け込むようになっていた。
この“遊べるBAR”の時代は⻑くアップデートを重ねながら営業を続けていく。
2020年 転機はコロナ禍
決定打になったのは、2020年以降の変化。
- ⼤⼈数でのグループの来店が減ったこと
- テーブル席の需要が低下
- 「カウンターに座りたいのに、いつも埋まっている」という声が増えたこと
- カウンター席と調理スペースが⼩さくやりたいことが出来なくなったこと
そう感じ始めてリニューアルという選択に⾄った。
2024年
「リニューアル」⼤改造計画
リニューアルという⾃分の中でも⼤胆な決断。
⾃分のアイデアや思い描いたデザインを実現してくれるデザイナーさん、施⼯会社を⾃ら探すことから始まった。
⽬を⾒張る巨⼤カウンター(全⻑ 約18m)を全⾯に押し出した設計へ。
1⼈でも8⼈で来ても“全員がカウンターに座る”という、普通のバーにはない考え⽅。
誰と来ても、スタッフとの距離が近い。
ボトルが⾒える、グラスが映える。
席によって景⾊が変わる、過ごし⽅が変わる。
そんな空間に仕上げたい。
「遊ぶ⼈は⼿前で盛り上がって、静かに飲みたい⼈は奥で落ち着く」
そんな無⾔のゾーニングも、内装に込めた。
2024年10⽉14⽇〜
リニューアルに伴う休業
2024年12⽉26⽇
リニューアル グランドオープン
リニューアルと共に新ロゴに変更
ローカルと観光客が交差する変わり続ける町で、変わらない想いがある。
湯沢の夜に灯る、静かで賑やかで⾃由な“遊び場”。
SWING BARには、余⽩と選択肢がある。
今⽇もまた、ひとつのグラスを磨きながら、
誰かの物語が始まるのを、ここで待っている。
SWING BARオーナー(店主)
樋⼝ 司
